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たまには長文を

カワイスギクライシス感想

往年のベテラン漫才師を見ているような、ある程度先が読める展開が面白かった。

(以下ネタバレあり)

 

全編通して「地球のかわいい動物には絶対に屈しない→屈した」の即堕ち2コマの繰り返し。
悪く言えばワンパターンにも思える構成だが、実際に見てみると全然飽きない。むしろちょっと先のオチが見えている安心感と、その通りに落ちる予定調和が面白いのかもしれない。

冷めた目で見れば、地球以外の生物が突然地球の動物を見てもそこまで可愛さに悶絶しないだろう。大体カテゴリ的には人間だって動物なわけで。いやまぁそのカテゴライズも人類が勝手に決めただけだが‥。
それでも初めて見る動物に可愛さを見出すのは何か人間特有の機能なのかもしれない。


実を言うとリアルの私は動物に対してそんなに興味がない。テレビで動物の番組がやっていようがネットでネコ動画がバズろうが、あまりピンとこない。

そんな私が本作を見ようと思った理由はひとえにシリーズ構成に皐月彩の名前を見つけたから。アニメ業界での実績は少ないながらも『うちの師匠はしっぽがない』(2022年)の担当脚本回が気に入って、以来注目している脚本家の一人である。

そして実績が少ないのに本作ではシリーズ構成に選ばれるあたり実力の高さがうかがい知れる。しかも全12話中、10話も脚本を担当した。

コメディとしてわざとらしくなく、どこまでも自然で引っかかるところのない脚本が良かった。皐月彩脚本は今後も追っていきたい。
そしてそれを支える声優陣の演技力、特に主人公役の花守ゆみりの演技力の幅の広さも良かった。