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たまには長文を

劇場版ポールプリンセス!!感想

プリパラ/プリチャンとアイカツのいいとこ取りした奇跡の60分。

(以下ネタバレあり)

 

【あらすじ】
星北ヒナノのおばあちゃんのプラネタリウムでのステージを終えたヒナノたち4人は、次なる目標としてポールダンスジャパンカップへの出場を決意する。4人はチーム名を「ギャラクシープリンセス」と決め、そして全国大会に向けてまずは九州予選を勝ち抜くべく、鬼教官と化したアズミ先生のもとで改めて基礎体力作りから取り組んだ。
アズミから大会のメンバー構成としてシングルはヒナノミオ、ダブルスはリリアスバルと発表されると、勢いそのままに九州予選を突破した。
全国大会優勝候補は大会4連覇中の強豪・エルダンジュ。その中でもリーダーのユカリはさらなる高みを目指していた。ユカリはサナノアに対して、全国大会に向けてさらに練習に取り組むことを告げた。一方ノアには、ユカリがやや無理をしているように見えた。
大会まで残り1か月を切った頃、リリアはスバルに対してもっと難度の高い演技に挑戦することを提案する。リリアは、予選では特に演技のミスがなかったにもかかわらずあまり高得点を得られなかったこと、それによりヒナノやミオの足を引っ張ってしまったことを気にしていた。一方のスバルはリリアの提案を拒否し、今の演技の精度を上げていきたいと語る。
二人の考えは衝突し、ついにスバルはスタジオを飛び出してしまう。そしてヒナノがそれを追いかけた。残されたリリアとミオはアズミ先生からスバルの過去について聞かされる。スバルはもともと体操をやっていたが、大会で無理に難度の高い技に挑戦し失敗。その時の怪我で体操からも引退していたのである。同じ頃、公園のブランコに座ってスバルもヒナノに対してそのことを打ち明けていた。スバルはリリアの言うこともよく分かっていた。落ち着きを取り戻しリリアに謝るべく立ち上がったところにリリアとミオも追いついてきた。リリアもまたスバルの気持ちを考えなかったことを謝り、仲直りしつつタブルスでより難度の高い演技にチャレンジすることにした。
全国大会の2日前、リハーサルのために会場入りしたギャラクシープリンセスはエルダンジュのユカリと出会う。ユカリを前にして様子がおかしくなったヒナノは、ようやくメンバーに自身の過去の経緯を話す。ヒナノもユカリも以前バレエをやっていたこと、ヒナノはステージで転んだのがショックで舞台袖に下がってしまったこと、それをユカリがキツく非難したこと、それでヒナノがバレエを辞めてしまったこと。それを聞いた3人は、今度は1人ではなく4人だからと元気づけた。
全国大会本番、みんな精一杯の演技をし、優勝したのはエルダンジュであった。大会終了後、ユカリがヒナノの元へやってきて当時の発言を謝った。ヒナノもまた当時ヒナノへキツく言ってしまったことを長年ずっと引きずっていたのである。
ヒナノはしかし、どこか振り切った表情で「今度はなにがあってもポールダンスから逃げない」と語り、ユカリと握手した。


待田脚本は相変わらずいつ見ても最高だし、江副仁美初監督作品を見たことも個人的にポイント。

プリパラ/プリチャンとアイカツを、8:2くらいでいいとこ取りした感じ。
江副仁美の名前はプリチャンで何度も見てきた人だし、待田堂子は昔から大好きな脚本家でアイカツスターズのローテ脚本家。プロデューサー兼CGの乙部善弘も、その名前を見た瞬間にプリティーシリーズの人だと分かるレベル。

 

 

より難度の高い演技ができるようになるため基礎的な体力づくりをおろそかにしないところはアイカツらしいし、ステージパートの豪華さはプリティーシリーズそのもの。

努力と成長を経て過去の挫折まで乗り越える王道的なストーリー展開は(奇抜さこそないものの)手堅い面白さである。

大会4連覇中のエルダンジュも、強豪ゆえのプレッシャーを感じていてしっかり人間味が感じられた。


個人的に好きな具体的ポイントは2点。

一つはギャラクシープリンセスが安易に全国優勝せずそこはエルダンジュに譲ったところ。さすがにポールダンス始めて数か月で全国優勝したら興ざめだったので、優勝できない方がむしろリアリティがあって良かったと思う。じゃあ九州予選を突破したことはどうなのかと思われるかもしれないが、ポールダンス人口がそんなに多くなさそうだし、コーチの下でしっかり練習したと思えば九州予選を突破するのは違和感ない。

もう一つはミオ(CV:小倉唯)の「衣装にかける思いが伝わるシーン」が用意されていたこと。
本作のストーリー展開、ダブルスを組むリリアとスバルが衝突するところが一つの山場なわけだが、ヒナノとリリアが幼馴染かつ飛び出したスバルを追いかけて直接スバルの過去を聞くのがヒナノなので、4人の中でミオの存在感がやや薄れる。
そんなときでも「ただそこにいるだけの外れキャラ」を作らないのが待田脚本の特徴である。(・・と、個人的には10年以上前から思っている。)

短いながらも、ミオの衣装づくりに対するこだわり、そこにやりがいと楽しさを感じている様子がよく伝わる、そんなキーポイントとなるシーンだと思った。

 

私は普段グッズとか買わないのに、今回はなぜか思わずクリアファイルを購入してしまった。


ステージパートのポールダンスのCGも見ごたえ充分で、とりわけプリティーシリーズ好きには自信を持ってオススメできる良作だった。