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たまには長文を

世話やきキツネの仙狐さん感想

たぶん癒しアニメだったんだろうと思う。放送前から高かったように感じる世間の期待には十分応えたし、最終回の最後に新キャラの存在を匂わせつつも綺麗に終わった点も潔くて好き。

(以下ネタバレあり)

 

ブラック企業で疲弊している主人公の元に現れた狐耳少女。最初から主人公への好感度MAXで、年齢800歳だから合法的に(合法とは?)酒が飲めると来れば、至れり尽くせりの高級旅館のようなおもてなしと言える。

そして隣に女子大生が住んでいて避けられていないとなれば、おいおい何が不幸な社畜か。充分勝ち組ではないか。(まぁ会社では確かに辛そうだけど)

いや本当に不満はないし、悪いところもなかった。

とすれば、少しだけ心の奥に引っかかっているのはまさにこの「至れり尽くせり感」なのだろう。
「存分に甘えるがよい!」が主人公ではなく、漫画の読者あるいは視聴者に向けられていることは明らかだ。

それが却って「ほらほらあれも用意したしこれも用意したぞ。満足いくまで存分に飲み食いするがいいガハハハ」とどこかの王様に言われているような、そんなプレッシャーを感じてしまうのだ。

しかし言うまでもなくそんなつまらないプレッシャーなど感じる必要はなくて、両手を広げて"存分に甘える"のがこの作品の正しい味わい方なのである。


スーパー仙狐さんタイムはVRを意識したカットで、新時代を象徴する見せ方だと思った。ゼロ年代ではありえなかった表現と考えればまだまだアニメの表現も終わりがない。

アニメ内アニメの脇役で人間国宝釘宮理恵の声が聞けたのもポイント高い。なんちゃって板野サーカスもオタク心を絶妙にくすぐる演出でニヤっとした。