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たまには長文を

魔法少女育成計画感想

サスペンスとして面白かった。
何気ないちょっとした描写が伏線になっていてストーリーのレベルが高い。

(以下、ネタバレあり)

 

16人の魔法少女からたった一人の生き残りを決めるバトルロイヤル。
理不尽な設定と頭のネジが外れたキャラたちが織りなす殺し合いは、しかし自らの魔法任せではない命がけの作戦と駆け引きが面白い。


バトルロイヤルの場合、慎重で思慮深いキャラが最終盤まで残りそうな気がするが、本作では死ぬ順番が全く予想できなかった。

黒幕であるクラムベリーは最後まで残ると思っていたのに中盤で死んでしまったし、チームを組んで戦いに臨んでいたルーラも序盤で退場した。
終始平和ボケしていたシスターナナも相方のヴェス・ウィンタープリズンの死で発狂してヤンデレ化すると思っていたのに(しかもCV:早見沙織だし?)、思わせぶりな描写を何度か見せておきながら結局あっさり自殺しちゃうし、この様子では主人公のスノーホワイトも実は最後に死んで救いなく終わるんじゃないかと疑ったものだ。
一方でスイムスイムが一番戦略的で合理的で残酷だったのがすごく印象に残った。原作がすごいのか脚本家がすごいのか、或いは両方かもしれないけど、「無口で何も考えてなさそう」というキャラクター像を定着させたスタッフ本当に有能、完全に誘導された。

 

さて、本作は「魔法少女もの」と「バトルロイヤルもの」という2つの要素を持っている。
主人公が最後まで戦いに参加しないという点では魔法少女まどか☆マギカ(2011年)が近いだろうか。
そしてバトルロイヤルものの作品としてはFateシリーズ、悪魔のリドル(2014年)、未来日記(2011年)などが思い出される。
しかし本作はこれらのどれとも似付かない展開だった。新鮮だった。
それにしても「困った人の心の声が聞こえる」という殺し合いには全く役に立たなさそうな魔法を持つスノーホワイトが、戦いを回避し続けた結果勝ち残ってしまうというのはなんともバトルロイヤルらしからぬ結末だった。

 

「死ぬときはあっさり死ぬ」というのも本作のポイントの一つだろう。
いくら綿密な戦略を立てたところで死ぬときはあっけないというのが却ってリアリティがあって怖かった。


正直、血が流れるタイプのアニメはそれほど好まないのだが、それでも後半は一気に見てしまった。
こういう戦略と駆け引きが面白い作品をもっと見てみたい。