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たまには長文を

飲み会の闇

結構前のことだが、「飲み会で出てきた料理を残すのはやめてほしい」という問題提起をテレビで見た。

その時は、出されたものくらい全部食べるのがマナーだろうと安直に思っていた。

しかし実際自分が社会人になってみると、そう単純な問題ではないことが分かってきた。

料理を残す原因は、結論から言ってしまうと「席の移動」だ。

最初に座っていた席で最後まで飲んでいる人間はほとんどいない。なぜなら飲み会の目的は酒を飲むことではなく、なるべく多くの人と会話を試みて懇親を深めることだからだ。初期配置である程度話題が尽きれば、席の移動が始まる。特に社交的な人間ほどそのタイミングが早いようだ。

その時、自らのグラスと注いで回る用のビール瓶、ないし日本酒の徳利を持つことになる。これで両手が埋まる。

そう、自分の小皿と箸なんてわざわざ持って歩かないのだ。故に移動した先で料理が出てきてもor残っていても、手を付けない。そもそも限られた時間でなるべく多くの人と話すとなると、のんきに食べてる場合じゃないのだ。


こうして飲み会の度に大量に残される料理を見てきた。酷い時は後半出てくる料理に誰も手を付けない場合もあった。店にも申し訳ないし平然と残して店を出る神経は未だに理解できないが、仕方ない一面もあるのかなと思う。


ちなみにこれは酒でも似たようなことが起こる。注いで回るべし、という文化では注がれる側、特に管理職のグラスは常に満タンになる。少しでも口をつけようものなら、注ごうと目を光らせていた周りの人間が我先にと酒を突き出す。はっきり言って異常な光景だ。
日本酒の場合は最悪だ、注げる余地があればいま入っている銘柄が何なのかなんて丸で気にせず、持っている日本酒を無理やり注ぎ込む。


しかしこれで"正しい"のだ。
黙って座っていると「キミも積極的に注ぎに行かなきゃダメだよ」と注意される。


彼らが正しいのだから、間違っているのは自分の方なのだろう。