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たまには長文を

クオリディア・コード感想

斜に構えた登場人物たちに多少の居心地の悪さは感じたものの、後半は面白かった。特に第8話以降の終盤は一気に見てしまった。

(以下ネタバレあり)

 

 

今まで敵だと思っていた相手が実は味方で、味方こそが敵だったというどんでん返しはかなりうまく決まっていたように思う。別れた仲間と最後に合流し全員で敵に向かう展開は非常に良かった。

そんな白熱の後半から終盤にかけて、残念ながら作画の方はどんどん厳しくなってしまった。折角の面白さを十分に表現しきれなかったのは勿体ない。それでも作画崩壊せずになんとか持ちこたえたのは評価したい。


主人公が一意に定まらない群像劇は好きなので、本作のように各自がそれぞれに自分の正しいと思うやり方で進んでいくのは見ていて楽しかった。無駄にプライドが高くて意思疎通が下手なせいで何度も衝突やすれ違いを起こしているのを見るとじれったさもあったが、それも年相応でいいのかもしれない。

ところで、本作は主要脚本家が3人いるという珍しい作品だ。しかもアニメ脚本家ではなくラノベ作家である。かれこれ400近いタイトルを見てきたが、こんな作品は初めてだ。土台の部分を作るのにどの脚本家がどこまで関わっているのか分からないが、このやり方についてはなんとも評価が難しい。

個人的には全話一人で書く構成の方が好きだ。その方がズレが少ないからだ。
「いつもと雰囲気が違うと思いながら見ていたら、実はその回だけ脚本が普段と違う人だった」なんて経験は少なくない。というより、こういう経験から脚本家の存在を気にしてアニメを見るようになった。

結果的には最初に言ったように面白かったので、今回は成功だろう。

実際、アナと雪の女王(見てないけど)を始め、近年のディズニーアニメでは脚本家の原案をスタッフ一同会議室で審議し、セオリーに基づいて何度も修正を繰り返し計算ずくで脚本を作っていく手法が定着している。
今や脚本は脚本家の手腕によってというよりも、計算と修正で作られる時代になったのだ。

それは万人受けするように角を削るようでいま一つ好きになれないのだが、今後日本アニメも複数の脚本家による制作が増えていくのかもしれない。

余談が長くなったが話を戻そう。
「アンノウン」といういかにも話を作るのに都合のよさそうな敵を配置しておきながら、「正体不明の謎の敵」という扱いのままにはせず、最後には彼らにも同情できる余地を残していたのも良かった点の一つだ。騙されていたと頭では分かりつつも、それを受け入れられずアンノウンの側についた青生というキャラも印象深い。これはアンノウンにもアンノウンの正義があることを描いていなければできない展開だ。よく練られている。
また楽曲についても、OPEDともに複数用意していて熱意を感じた。

良い点がたくさんあるだけに作画の体力切れが本当に惜しい作品だった。